つけ麺とかいうわざわざ麺とスープを分けた効率の悪い食べ物、なんなん?w
つけ麺とかラーメンの麵とスープをわざわざ分けただけのもんだろ?
なに格好つけて分けてんねん。普通に食えやw
洗う食器増えて効率悪すぎやw
と思っていた時期が俺にもありました。
先日、生まれて初めてつけ麺を食べた。
実のところ、最近までつけ麺のことをよく分かっておらず、
本当にただラーメンのスープと麺を分けただけのものという認識だった。
俺の知り合いにも、「カツ丼は嫌いだけど、ご飯とカツが別皿で分けられているなら食べる」という酔狂なやついるもんだから、
そういう厄介なクソ野郎がラーメン界隈にいてもおかしくはないと思い、
『つけ麺』とは、そういった麺とスープを分けたいというキチガイラーメンオタクへ向けたメニューだと思っていた。
偏見だが、ラーメンオタクはそういう食へのこだわりがめちゃくちゃうるさいやつが本当に多そうだし。
『つけ麺』というものに対して、
「なーに、格好つけてんだよ。いっぺんに混ぜて食わんかい!!」と思っていたのは否めない事実。
そんなアンチつけ麺の俺がなぜ食べるに至ったかというと、、、、、近くに評判のいいラーメン屋へ行った時の話だ。
そこはラーメンの他にもつけ麺を提供している店だった。
俺は当然ラーメンを頼んだわけだが、周りの常連っぽい連中は皆、つけ麺を頼んでいやがった。
スープと麺が一体化しとる普通のラーメンを頼んでいるのは俺の他にもいることはいたが、
「レビューサイトで高評価だから来ちゃいました」という感じのいかにも"みいはあ"な女子のみで、
まあ、俺もその手合いであることに違いはないのだが、「失敗しちまったな・・・」と思った。
実際、そのラーメンは「悪くはないけどラーメンはこんなもんだよな」という感想で、可もなく不可もなしという味だった。
普段であればそれで終わる俺だが、
既にいる客、新たに来る客、とにかく常連っぽい連中は皆一様につけ麺を注文してすすっているではないか。つけ麺はそんなに旨いのか、と流石に気になってしまい、悶々としたまま店を出た。
それからはというもの、つけ麺の存在が頭にこびりついて離れなくなってしまい、
我慢が出来ず、結局数日後、改めて来店したのだった。
店の中を見渡すと、相も変わらずつけ麺を注文している客ばかり。
普通のラーメンを注文しているのはいかにもな"みいはあ"な女子や、前回の俺のように何も分かっていなさそうな愚かそうな客のみ。
注文してから10分程、いよいよ、つけ麺が盆に運ばれてきた。
待望のつけ麺だが、俺の想像していたものとは大分違うものが出てきた。
まあ、見た目はまんまなのでそこは違いないのだが、麺がひんやりしていてかなり冷たい。
一方で、スープは普通のラーメンのように温かく、そして、普通のラーメンと違ってかなりドロドロしていた。
この店はラーメンも結構濃厚でスープがドロっとしているのだが、
つけ麺のスープはそれ以上に濃厚で、レンゲですくってみるとコーンポタージュのように見てわかるくらいにドロっとしていた。
食べる前から、「確かにこれはラーメンとは全くの別物だな。格好つけてとか、こだわりとかいう話ではない」と、つけ麺への認識を改めた。
「麺は冷たいのに、スープが熱いって……こんなもん、食っているうちにヌルくなって不味くなるだろ…」と思ったが、
よくよく見ると、提供された盆の上に、レシートサイズのつけ麺の食べ方の指南書が置いてあった。
俺のようなつけ麺初心者に向けに店が用意したものなのだろう。
内容は別に大袈裟なことが書いてあるわけではなく、最初は麺のみをそのまま食べろだとか、スープの温め直しは出来る、スープ割り(?)出来るだとか、そういうものだった。
説明書は隅々まで読むタイプのオタクなので、
一応指示に従って、麺だけつまんで食べた。
麺はラーメンと違い太くて思いのほか、『麺』という感じがある。
ラーメンの麺は味気のないものだが、麺自体が主張してくる存在感があった。
俺は麺類ではうどんが世界最強だと思っており、
そういう意味では、つけ麺の太さや食感は、普通のラーメンに比べて遥かに俺好みといえるものだった。
そしていよいよ、スープに麺をつけて食べる・・・・・・
ゥンマイ~~!!(テーレッテレー)
想像以上に美味。
スープが濃くて、太い麺にしっかり絡んで美味しい。
やはりうどんと比較すると、ラーメンは麺のパンチが足りない小童だと思っていたが、つけ麺はその認識が覆るパンチ力があった。
だが、食べているうちに気付く。
「スープくっそヌルくなってね?w」と。
それもそのはず、前述のとおり、
麺はかなり冷たいのに対して、スープは温かい。
陰と陽、水と炎、光と闇、冷と温、
冷たい麺を温かいスープにぶち込めばヌルくなるのが道理というもの。
つけ麺が運ばれていた段階で、ヌルくなることそれ自体は理解しているつもりだった。
しかし、ヌルくなる速度が俺の想像を絶する早さだった。
一口目、二口目は当然美味しいに決まっているが、
六口目、七口目くらいにはかなり違和感を覚えるヌルさになっていた。
そして、ザルに盛られた麺をまだ半分も食べていないというのにも関わらず、
スープの熱は完全に死んでしまった。
盆に置いてあった"指南書"には、「スープの温め直し出来ます。」と書いてあったが、
つけ麺を食べる他の連中は誰一人として温め直しをしておらず、
人気店なだけあって店員が忙しそうにしていて、追加注文でもないそんなしょうもないことで声を掛けにくい。
また、ラーメン屋特有の雰囲気に飲まれ、「冷たいまま食べるのも通の食べ方なのかもしれない」と思い、半分以上残ったつけ麺を冷たいまま完食したのだった。
温かいうちは美味しかったが、正直冷たいつけ麺は全く美味しくない。
冷やしうどんのように、最初から冷たい状態で食べられることが想定されているものならばともかく、
温かい状態で食べることが想定されているものがヌルくなっては美味しくないに決まっている。
「つけ麺も最初はうまいけど、料理として破綻してるだろ…。麺も温かくして提供しろよ…誰やねんこんなもん作った阿呆は」
と思って、帰宅後、つけ麺の起源をググったら、麺を冷やすのにはちゃんと理由があるらしく、
麺単体でも成立するようにヌメりやらをとる役割だったり、麺をシメて食感を良くしたりなど、そういった意図があるとのことだった。
また、つけ麺マニアの解説ブログによると、そもそもつけ麺も、スープが温かい状態を保ったまま完食出来るらしい。
どうもスープに麺を長時間浸すのはNGらしく、
食べる直前にサッとつけてすぐに食べるのが正しいらしい。
俺はというと、そうめんや蕎麦のように、結構くどいくらいスープに浸してから食べていたのだった。俺は自身の無知を恥じた。
成る程、道理で最後まで美味しく食べ切れないわけだ。
(だがまあ、他につけ麺を食っている連中もジャブジャブにスープに浸していたから、皆顔に出さないだけで、後半は冷たいまま食っていたように思う。あいつら我慢して食わずに温め直して食えよ。)
この世には作法というものが存在する。
物事の本質を汲み、継承するために先人が考えた心得。
俺はつけ麺の作法を知らぬまま、つけ麺という文化に挑んでしまっていた。
翌日、俺は再度つけ麺にリベンジした。
三度目にしてようやくこの店の神髄とやらを拝謁出来るのか、と。
強者のみが持つ、余裕と矜持。
つけ麺マニアのブログにあった解説のとおり、
食べる直前に一瞬だけ麺をスープにくぐらす、食す。
己の肉体と知識に限界を感じ 悩みに悩み抜いた結果、俺がたどり着いた結果は感謝であった。
自分自身を育ててくれたつけ麺マニアへの限りなく大きな恩。
自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが
一日一万回 感謝のF5アクセス!!
気を整え 拝み 麺を持ち スープにくぐらせ 食う。
一連の動作を一回こなすのに当初は5~6秒。
一万回をF5アタックを終えるまでに初日は18時間以上を費やした。
F5アタックを終えれば倒れるように寝る 起きてまたアクセスを繰り返す日々。
つけ麺を注文して20分が過ぎた頃 異変に気付く。
ザルに盛られたつけ麺を完食してもスープがヌルくなっていない。
つけ麺デビューから三日目にして完全に羽化する。
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