刺身の“ツマ”を食べる。
本当にしょうもない話なんだけど、皆は刺身のツマって食べる?
そもそも、刺身のツマってなんだかわかる?
刺身の下敷きにされたり、横に盛られていたりする細か~~く切られた大根のアレ。
正確に言うとああいう白髪大根は『ケン』というらしいけど、まあ、総称して『ツマ』というらしい。
俺、アレを食べるのがめちゃくちゃ好きでね。
スーパーの刺身とかのは乾いてて美味しくないけど、店で出される刺身に添えられているツマって結構美味しいんだよね。
たまに行く海鮮をウリにしてる定食屋で、ランチセット頼むと刺身がついてくるんだけど、ツマをわさび醤油につけて食べると美味いんだよ。
7月に行った時は、暑さで刺身がダメになるから、ツマの代わりに砕氷器で細かく砕かれた氷が添えられていたけど、結構ガッカリしたもんだわ。
いい例えが思いつかないけど、かつ丼にたくあんが付いていないとか、弁当に玉子焼きが入っていないだとか、あんかけ焼きそばにウズラの卵が入っていないとか、それくらいのスケールのガッカリ。
ツマを氷にするという店の粋な計らいだっつーのは理解しているんだけどよ。寂しいんだよなぁ…。
ツマを食べている人ってあまり見ないから、共感は得られないだろうけど。
寧ろ、「そんなものまで食べるお前は貧乏臭い」とか思われるかも知れねぇな。
まあ、俺も昔はツマまで食べるような人間じゃなかったんだけどよ。
キッズの頃、給食でエビフライが出たんだけど、尻尾を残していたら隣の席の男に「尻尾を食わないやつは男じゃねぇ」とバカにされてよ。
「食べ物は大切にして、作った人にも感謝して好き嫌いせず全部食べなさい」と教育されていたから、全部食べるのは当たり前だったんだけど、“エビフライの尻尾”は食べる対象に含まれていなかったんだよな。
しかしまあ、男じゃないと馬鹿にされて黙っているのも癪なので、俺も思い切って尻尾を食ったんやけど案外イケる。
俺をそそのかしたやつもニッコリして「な?ウマいだろ?」としたり顔でほざいてて、俺自身も何かちょっといい気分になったんだよね。
その出来事をキッカケに、「俺が知らないだけで食える部位があるんだな」と思うようになると、途端にそれを食べずに残すのが勿体なく感じるようになって、今に至る。
流石に喉に刺さったらヤバそうな焼き魚の骨とかは残念ながら残してしまうけど、まあ大概のものは食べる。
今では「俺に食べられないものはない」と思うレベルにまでなったが、最近新たな“出会い”があってよ。
近くのメシ屋で、水ナスのおひたしなるものを注文したら、ナスを輪切りにしたものが提供されたんだよね。
それまではよろしいのだが、よくよく見ると、ナスの上段部にあたるところが“ヘタ”付きのまま輪切りにされて、器の中に入っていたわけですよ。
おいおいおいおいおい……、マジか?
ツマやらエビの尻尾やら食べる俺でも、ナスのヘタは食べたことがないし、そもそも食えるのか。料理する人なら知ってるだろうけど、ナスのヘタってかなり硬いしトゲトゲしてて痛そうだぜ。
しかしまあ、ナスのヘタなんて目立つモンを料理人が除去するのを忘れたというのも考えにくい。
敢えて残したまま提供されるということは、ナスのヘタは食えるのか…?
食事の場で携帯を触るのも品がないけど、気になりすぎてちょろっとググってみたら、どうやらナスのヘタは食べられるらしいのよ。
「流石やな~」と店とナスに感心して、ヘタ付きの輪切りナスを食ってみたらめちゃくちゃ味が染みてて美味しい。
生姜の味が染み込んでか、元々の味なのか、ちょっと辛みのあるナスの汁がジュワっと出てきてちょいと感動しちまったよ。
本当にしょうもないけど、「え?コレ食えるの?!」と思ってしまうようなものが実は食えるみたいな発見、イイわ~~~。